日本海縦貫・羽越新幹線、私が長野-十日町-新潟ルートを推すワケ

皆さんは、羽越新幹線という構想があるのをご存知ですか?

 

国の「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」の一つに位置づけられている路線の一つです。

 

去る、6月10日に執行された新潟県知事選で当選した花角英世知事がこの計画に目途をつけることを公約に当選しましたが…

 

この羽越新幹線富山駅を起点とし、上越妙高-長岡-新潟-酒田市附近-秋田-新青森(-函館・札幌)となっていますが、私はむしろ長野-十日町-長岡-新潟-酒田市附近-秋田-新青森-(函館・札幌)といったルートでの整備が現実的であり、またこのルートで着工すべきと考えます。

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私がそこまでしてこのルートを推しているワケは

1)構造上の問題

長岡駅は将来2面6線に拡張することが可能な構造となっています。このパターンに該当する駅の例として上越新幹線北陸新幹線の分岐駅である高崎駅があります。一方、上越妙高駅は建設費圧縮を目的に当初2面6線で整備するものを2面4線に設計変更された経緯があります。

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(図引用:Wikipedia

左の図が通過専用の本線と、停車用の副本線が配置されている2面6線構造で、将来長岡駅はこの構造にすることが可能です。

右の図が2面4線構造で、上越妙高駅に採用されています。上の図に比べて相当簡素になっているのが分かります。

長岡駅上越妙高駅も基本計画では分岐駅となっていますが、もし上越妙高駅を分岐駅とした場合、ダイヤの組み方によっては上越妙高駅で列車同士の干渉が起こる可能性があり、ゆとりのあるダイヤが組みにくくなる恐れがあります。分岐駅にする場合最低でも長岡駅程度にする必要があるように感じます。

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(時刻表を見ての通り、上越妙高駅は高速で通過する列車が存在し、時間帯によってはこの駅で通過待ちをする列車もあるためここに羽越新幹線が乗入れるとなると、運用上緻密なダイヤの構築が必要となる)

 

2)乗務員配置の問題

北陸新幹線運行会社の境界駅は上越妙高駅です。

しかし、乗務員の交代駅は2駅東京寄りの長野駅で行われています。つまり、長野-上越妙高間のJR東日本の営業区間JR西日本の運転士や車掌が運行していることになり、これを「越境乗務」といいます。

通常、乗務員の交代は会社境界駅で行われます。東海道・山陽では新大阪、山陽・九州では博多、東北・北海道では新青森です。これらの駅の共通点として、全ての営業列車が停車することや付近に大規模な車両基地があることです。

北陸新幹線が越境乗務を行う理由の背景には、会社境界駅である上越妙高駅を通過するためと皆さんはお考えかも知れませんが、それもそうですがやはり最大の理由は、長野市内に大規模な新幹線の車両基地が設置されていることで、車両繰りが柔軟かつ効率的に行えるためと私は考えています。

長岡駅-上越妙高駅ルートとした場合、乗務員は何処で交代するでしょうか。仮に長岡駅上越妙高駅も通過列車を設定する場合、新潟駅富山駅での乗務員交代となり、運用効率面でやや劣るのではないでしょうか。

出典:Nikkei Style

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO83651200V20C15A2000000

読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/special/shinkansen/hokuriku/naruhodo05.html

タビリス

https://tabiris.com/archives/jouetsumyoko/

 

3)車両の運用効率の面での問題

現在、東北・北海道新幹線は10両1編成(E/H5系)は東京-盛岡の区間ではE6系とE/H5系が連結した17両編成で、盛岡以北ではE/H5系の10両編成で運用されています。

このため、いわて沼宮内-新青森-新函館北斗-(札幌)の区間内の全ての駅では、10両編成以下の列車が入線可能な上限となっています。

一方、北陸新幹線はE/W7系の12両1編成で運用されています。

旅客の安全面やサービス面を考慮したとき、北陸新幹線のE/W7系新青森駅以北の駅に入線することは、JR関係者曰わく、それは出来ないとのことです。

 

もし、北陸新幹線E5系が乗入れるということは、車両の数や乗車口の位置、座席の位置や数の異なる車両が入線することになり、煩雑な運用管理が必要になるということです。

東海道新幹線では1995年に登場した500系「のぞみ」が走っていましたが、JR東海では300系や700系車両が500系に比べて大量輸送の面で優れていたことや、乗車口の位置、座席の位置と数が異なっていたことなど、混在する車種を運用は非効率的であると判断し、2010年にJR東海東海道新幹線から500系を撤退させたという経緯があります。現在東海道新幹線では、700系、N700系、今後登場するN700S系と車両の数、座席の数と位置、乗車口の位置を全て統一しています。こうした流れはJR東日本東北新幹線北陸新幹線にも表れ始めています。

 

4)車両繰り・保守点検の問題

2)でも触れた事ですが、長野市には新幹線の車両基地が設置されています。車両基地があることでより弾力的かつ効率的な運用を可能としています。

しかし、上越妙高駅富山駅には、この車両基地が設置されていません。

万が一、車両故障など起こったとき、代車による救援措置等迅速な対応が必要になります。車両基地があることで、迅速な対応が可能になります。

 

5)複雑な路線構造による問題(路線は極力単一の路線にすべき)

東海道新幹線は、全線でシンプルな単一の路線となっておりダイヤが乱れた場合でも、ダイヤ復旧が可能な限り迅速に出来るといった特徴があります。

一方、JR東日本系列の新幹線は、途中途中に分岐駅やミニ新幹線等があり、例として、高崎-大宮は北陸と上越の双方の新幹線が線路を重複で共用しており、さらに、大宮-東京では東北新幹線とも共通の線路を使っています。

線路を重複して共用するということは、どこかの新幹線のダイヤが乱れれば、別の新幹線のダイヤも乱れることに繋がりかねないということです。それだけでなく、物理的に限られている設備の中で列車の運行本数の奪い合いが起こることになりかねず、利便を追求する新幹線であるはずなのにこれでは本末転倒ですね。そうしたことを避けるためにも、新幹線の路線は極力単一路線とし、分岐駅の少ない路線として整備すべきと考えます。そうすることで北陸新幹線も、羽越新幹線もお互いの路線を干渉することなく双方の路線を両立させることができ、双方とも最大のコンディションを発揮できるものと考えます。

 

如何でしょうか。少し文章が長くなってしまいましたが、羽越新幹線(富山)-上越妙高-新潟ルートよりも長野-十日町-新潟ルートの方が、現実的ではないでしょうか。

勿論、長野-十日町-新潟ルートにした場合でも、北陸~新潟・庄内・秋田方面へは長野駅での乗換が必須になるというデメリットもあるかも知れませんし、財源や並行在来線の帰属、JRとの調整等もあろうかと思いますが、1)~5)に挙げた問題点は解決できるものと思います。